28 もう一つの秘密

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 ――『稀代の王の師』『竜洞(りゅうどう)に社を築き』『異界を隠す』『(しるべ)は師の伝説に』『文化の都の偽りの塔』『陰陽(いんよう)の刻』『影が示す場所』―― 「銀羽筆(ぎんうひつ)に残された秘密に挑んでる」 「秘密?」  うん、と頷いて、ロイツは銀羽筆を取った。 「メルディアにね、言われたんだ。これに記された言葉は、財宝のありかじゃなくて、樹竜の居場所を示してるんだって」  レーテルは瞬いた。 「樹竜って、樹州(ここ)の守護幻獣の?」  頷いて、ロイツは先日のマレンの役場でメルディアとした会話を、ヤヒメとレーテルに聞かせた。さまざまな秘密が明かされ、別の秘密が現れた。メルディアは、まるで宿題を出すように、ロイツにその秘密を与えてロンディアルに帰っていった。 「運命神の義娘で、賢神の弟子……。すごく変わった方だとは思ったけど、とんでもない人だったんだね、メルディアさんって」 「あとから聞いたんだけど、ティアとアルミスは、メルディアの正体に気づいてたんだって。メルディアが樹州に来た目的も、聞かされてみたい」 「ヤヒメちゃんも、メルディアさんのこと知ってたんでしょ?」  ヤヒメは苦笑を浮かべて首を振った。 「ロンディアルの偉い方だとしか聞いてなかったっすね。お頭は、メルディアさんの正体を知ってたみたいっすけど」 「極秘にされてたのかな?」 「あえて言わなかっただけだと思うっすよ。あの人、隠し事するのが好きっすから」  ロイツとレーテルは納得したように苦笑した。
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