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――『稀代の王の師』『竜洞に社を築き』『異界を隠す』『導は師の伝説に』『文化の都の偽りの塔』『陰陽の刻』『影が示す場所』――
「銀羽筆に残された秘密に挑んでる」
「秘密?」
うん、と頷いて、ロイツは銀羽筆を取った。
「メルディアにね、言われたんだ。これに記された言葉は、財宝のありかじゃなくて、樹竜の居場所を示してるんだって」
レーテルは瞬いた。
「樹竜って、樹州の守護幻獣の?」
頷いて、ロイツは先日のマレンの役場でメルディアとした会話を、ヤヒメとレーテルに聞かせた。さまざまな秘密が明かされ、別の秘密が現れた。メルディアは、まるで宿題を出すように、ロイツにその秘密を与えてロンディアルに帰っていった。
「運命神の義娘で、賢神の弟子……。すごく変わった方だとは思ったけど、とんでもない人だったんだね、メルディアさんって」
「あとから聞いたんだけど、ティアとアルミスは、メルディアの正体に気づいてたんだって。メルディアが樹州に来た目的も、聞かされてみたい」
「ヤヒメちゃんも、メルディアさんのこと知ってたんでしょ?」
ヤヒメは苦笑を浮かべて首を振った。
「ロンディアルの偉い方だとしか聞いてなかったっすね。お頭は、メルディアさんの正体を知ってたみたいっすけど」
「極秘にされてたのかな?」
「あえて言わなかっただけだと思うっすよ。あの人、隠し事するのが好きっすから」
ロイツとレーテルは納得したように苦笑した。
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