最終話 未来は……

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母さんはそう言って親父の腕にしがみつくと、親父は母さんを睨みつけて、 「おい…。俺はまだまだ元気だぞ」 と言って二人は顔を近づけて微笑み合っている。ここの仲良しは、ずっと変わらないか。 「斗和にぃに会えたら、よろしく言って!所轄近いんでしょ?」 「そうそう、会えないよ。しかも斗和にぃは刑事だしな」 「そっか。じゃ、頑張って、大地!早く刑事になって!」 姉貴は優しい笑顔でそう言って、俺の背中を思い切り叩いた。 「いって…!!アネキも、仕事決まったら教えろよ。それから、咲也くんとあんま喧嘩すんな」 「ほっといて!」」 姉貴は声をあげて笑っている。 俺は黒のジャケットを羽織って、玄関に向かい、新しい革靴を履いて玄関を開けた。門を出て、改めて振り返って自宅を見上げると、なんだかいきなりホームシックみたいな気持ちになってしまった。家を出た目の前で。情けないな。 小さい頃、庭にあったブランコ。 6歳の誕生日で、チャイルドシートを外した瞬間。 はじめてのランドセル。 中学校に上がった時、学ラン姿を見て、母さんが涙ぐんで背中を抱きしめてくれたっけ。 声変わりして、喉仏が出てきて、親父と夜中遅くまで語り合ったり。 姉貴と些細なことで大喧嘩したこともあったし。 でも、どんな時も家族の存在がいつも俺を支えてくれたよ。 刑事になりたいって両親に言った時、もしかしたら反対されるかな?って思ったけど、二人とも賛成してくれた。
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