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プロローグ
本当はいつも不思議だった。
自分なんかが昴流の恋人でいいのか。
だって彼は俺なんかより何十倍も華やかで。
沢山の人間に囲まれていて。いつも俺より数歩先を歩いていて。
何も持ってない、平凡な俺なんかが彼の隣にいていいのかって、ずっと思っていた。
・・・だから、ドアを開けて部屋の中に残るむせ返るような女物の香水の匂いと、これ見よがしに残されていたグラスの縁に付けられた口紅の痕と、乱れたシーツに眠る彼を見た時。
俺は
”ああ、やっぱりーーー”
そう思ったんだ。
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