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プロローグ
ーーside 冴島 里依
込み入った人間関係はお好きですか?
私は創作上の人間関係を眺めているのが好きです。複数人の人物が利害や愛憎を経て最終的に側に居る人間を選択していくその過程は、まるでその人物の隣で一生を過ごしたかの如く胸をいっぱいにしてくれるでしょう。
勉強会の後、年下の大学生である真さんに呼び出された私は喫茶店で紅茶をいただいています。無理に平静を装う真さんは席につくなり私を睨みました。
「ちょっと、里依さん。俺、里依さんが俺の大親友である緒方とそういう関係になったとか聞いてないんだけど」
「何の話です?」
何の話ーーかはわかるのですが、普段私を揶揄ってやまない真さんに馬鹿正直に対応する気はありません。
「さっきの話、容疑者は里依さんしか居ないじゃん!? 緒方の交友関係の狭さ、知らないとは言わせないよ」
「正確には栞菜ちゃんも居ますけど、そこは考えたくないというのが実に真さんらしいですね」
そう、容疑者は複数居るのです。
“彼は一体、誰とキスをしたのか?”
これはとある爆弾発言を巡る3人と私の物語です。
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