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私は当時終末医療に関わっておりまして、まぁ簡単に言えば、末期のガン患者さんのお世話をしていたんです。
余命宣告をされてしまったり、治療を拒否されたり、私達はそういった人達が少しでも快適に最期を迎えられるようにお手伝いするのが仕事でした。
ある夜のことです。その日は当直の日で、患者さんに異常が無いか夜間の見回りをしていました。
夜中の3時頃のことです。とある個室から物音が聞こえてきました。
その個室には、末期の子宮癌を患った若い女性が入院していました。余命幾ばくも無いとは到底思えないほど血色もよくて元気に見える人だったのですが、病院にいらした時点ですでに癌が全身に転移していて、治療もするだけ無駄な状態でした。
旦那さんも小さな子供もいて、まだ若いのに可哀そうにと思っていたのを覚えています。
私はすぐにノックをして、彼女の部屋に入りました。
その女性はもうほとんど寝たきりで、車いすが無ければ移動することも難しい状態のはずでした。ところがどうでしょう。女性はベッドのそばに立っていたのです。
そして奇妙なことはそれだけではなく、彼女のお腹は臨月の妊婦のように膨らんでいました。
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