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冷たい…
夜風が冷たく、酔いをさましてくれる。
「はい、お水。」
ミネラルウォーターのペットボトルを芦立さんに手渡した。
「ありがとう。」
「落ち着くまで、ココに居よ?」
「ごめん…」
「なんで、謝んの?芦立さんは、悪くないよ。根掘り葉掘り聞くほうが悪いんだし。」
「うん…」
「カレシとうまくいってないの?」
「中距離恋愛なんだけど…最近、連絡があまり取れなくて…あたしが仕事で遅くなっても全然平気みたいで…」
「付き合ってどれくらい?」
「再来月で…六年かな。」
「長っ!」
「成人式で再会して…遊ぶようになって、三年経ってからお付き合いが始まったの。」
「って、芦立さん…今、何歳?」
「二十九歳…になる。」
「そうなんだ。」
「滝倉さんは?」
「オレ?オレは…三十七歳になる。」
「何月生まれ?」
「オレは、十二月。」
「一緒だ…」
芦立さんがポツリと呟いた。
「さ、戻りましょ。もう、大丈夫ですから。」
「あ、敬語…」
オレがそう言ったと同時だった。
オレの唇に柔らかいものが軽く触れた。
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