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 対照的な二人が卓子を中心に向かい合う。 勝負の時を今か今かと舌舐めずりして待つ海堂(かいどう)を前に、 (みなみ)はいかにも委縮していた。 南の所属する夢女神(ゆめがみ)学園賭博部の部員たちは、観覧席から固唾を呑んで見守る。  竜崎(りゅうざき)は気が気でなかった。二年生ながら補欠である南を、 この全国高校生賭博王決定戦 地区予選準決勝の舞台に立たせようと 進言したのは一年生の彼であった。 果たして先輩が極限の緊張に耐えられるのか、 いざ現場と対峙すると矢庭に暗雲が漂い始める。 部活終わりにいつも連れ立って帰っていた竜崎は、 南の優しさ、悪く言えば気の弱さを重々承知していたからだ。
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