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「どこからそういう話になったのか分からないけど、そういうの、どう反応していいか分からなくてさ。テンパったけど、でもひとつ言えるのはそもそもオレみたいな子供っぽくて騒がしい奴、深町が好きとか有り得ないだろ!ってことで。でもオレがそうやってムキになって否定すればするほどあいつら面白がって盛り上がるし……」
「…………。」
その瞬間、頭がフリーズした。
その言葉の意味するところを、咄嗟には理解出来なかった。
でも隣で混乱しながらも一生懸命咀嚼しようとしている私をよそに、樹くんはさらに続ける。
「とにかくお前らぜってぇ変なこと言うんじゃねーぞ!って釘刺した次の日、やっぱりあいつら揶揄って来て、深町が逃げ出して。で、それ以来何となく避けられるようになったのも分かって、それに凹んでる自分がいて。そこで初めて、ああ、オレの方が深町のこと好きだったんじゃんって気がついた。でも避けられてるし、変に近づくとあいつらまたいろいろ言ってくるだろうし。そう思ったら結局何も出来ないままそれっきりで。
だから今日深町と10年ぶりに再会した時、あの当時のこと思い出して、ああ、何かいろいろ話したいことあるなって。それであんな強引な誘い方になったって訳なんだけど……。ごめん」
「……ちょっ、ちょっとストップ!」
「…ん?」
情報量が多過ぎてさすがにこれ以上はもう処理しきれなくなり、私は慌てて樹くんの前に両手をかざして彼を止めた。
「……す、す、好きって……」
「うん。オレも好きだった、あの時深町のこと」
……今度は、私が両手で顔を覆う番だった。
10年ぶりの答え合わせが、予想外の方向に転がり過ぎて。
"で、どうなの?樹くんは、地味子に告白されたらどうするんですか⁉︎"
"……あり得ないからっ"
蘇る、あの日の記憶。
ーーつまり、こういうこと……?
あの"あり得ないから"っていうのは、実は私のことが"あり得ない"ってことじゃなくて、私が樹くんのことを好きだってことが"あり得ない"って、そういう意味の否定だったってこと……?
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