第1話 入学式の出会い

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第1話 入学式の出会い

4月のとある日。今日は青楓(せいふう)高校の入学式。貼り出されたクラス表を確認しようと、多くの新入生たちが玄関前に集まっていた。 間宮菜緒(まみやなお)もそのうちの1人だ。 「わたしA組だ。マサくんは?」 菜緒は、隣にいるマサくん――幼なじみの木村正紀(きむらまさき)に尋ねた。正紀は少し背伸びをして、クラス表の自分の名前を探している。 「えっとね、俺は……D組だ」 少し残念そうな顔をしながら、正紀は答えた。 「そっか。残念」 「まあ、これだけクラス数多けりゃ仕方ないな」 青楓高校はこの辺りでも特に大きな高校で、全校生徒数は2000人近くいる。今年の新入生は700人でクラス数は18クラスだ。 「文武両道」を掲げており、成績優秀者が多くて大学進学率も高く、さらに運動部と文化部共に強豪の部活が多い。 「まあ、クラスが違くても俺らの関係には影響ないけどな」 「そうだね。家隣だし」 菜緒と正紀の家は隣同士で2人が生まれる前から家族ぐるみの付き合いがあり、菜緒と正紀は生まれたときからの幼なじみで家族同然の存在なのだ。 「クラス違うと教科書とか忘れたとき助かるしな」 「それ、マサくんだけだから」 「まあ、そうだけど……いいじゃん。頼りしてるよ、菜緒」 イタズラっぽく笑う正紀に菜緒は呆れる。ちょっぴりお調子者の正紀としっかり者の菜緒、2人の関係はまるで「弟と姉」のようで、小さい頃からその関係は変わっていない。 「あ」 2人が教室に向かおうとすると、正紀が誰かに気がつき立ち止まる。そして、その人物に声を掛けた。 「蓮見(はすみ)!」
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