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1章:謎の聖女は最強です!!
「こんなの、ひどいよ! あんまりだよぉ!」
サンクトハノーシュ王国に舞い降りた聖女のうちの一人、サクラの悲痛な声が、白亜の城にこだました。
サクラの婚約者であり、第二王子のロイが、気づかわしげにそっとサクラの細い肩を抱く。
白亜の城の絢爛豪華なエントランスには、大きな魔法陣の上に、今からこの城を発たんとするもう一人の聖女、エミの荷物が置かれている。荷物といってもトランクが一つと小ぶりな白い箱が一つだけ。小ぶりな白い箱は、彼女のメイクボックスだ。
今から婚約者の城に向かおうとしている救国の聖女の荷物としては、あまりに少ない。
しかし、荷物があまりに少ないのには理由があった。第一王子の婚約者としてエミがこの城に住んだのは、たった2ヶ月だけ。しかも、ゴタゴタがあってほとんど所有物を増やす時間すらなかったのだ。
とにもかくにも、聖女エミは今日この城を出て行く。
しかし、サクラは未だに、エミがこの白亜の城を出て行くのに納得していない。サクラは目に大粒の涙を浮かべた。
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