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むしろ好都合です
結婚初夜に白い結婚と別居を言い渡された。
妻同伴の行事以外は自由に暮らしていいという言質も取った。
やった!やったわ!
旦那様、ありがとうございますっ!!
目の前に立つ旦那様に浮かれる胸の内を気取られないように咄嗟にうつむいたけれど、それでも笑いが込み上げてきてどうにも肩が揺れてしまう。
それを泣いていると勘違いされたらしい。
旦那様の手が肩に置かれ、泣かないでくれと謝罪されてしまった。
まずい、このままでは涙をこぼすどころか笑っているのがバレてしまう。
わたしは咄嗟に旦那様の手を払うと頭まですっぽりベッドに潜り込んだ。
よかったわぁ、どう切り出そうかと思っていたのよね。
結婚した以上、夫婦の営みは避けて通れないし、この人とならそうなってもいいと思っていた。
でも、せめてあと三か月、妊娠だけはどうしても避けたかったのだ。
もしも毎晩求められたらどうしようか、すぐに妊娠してしまうんじゃないだろうか…という心配は全くの杞憂だった。
抱く気がないとハッキリ言われたんですもの!
いや、正直ね、ちょっとショックだったわよ?
魅力がない、妻とも女とも思っていないってことだもの。
でも許してあげる。
わたしの思惑通りに事が運んで笑いが止まらないほどだもの。
今のわたしには、旦那様よりも侯爵夫人という地位よりも、大詰めを迎えているダンジョン攻略の方が大事なんだから!
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