ビッチ姉妹の話③

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ビッチ姉妹の話③

20XX年、5月11日。 私は、衝撃的な出会いをした。 いつものように近所の公園で子供たちと遊んでいると、1人ぽつんと木陰に隠れている子がいるのを見つけた。 初めは恥ずかしがり屋の子なのかなと思って、タイミングを見て声をかけようかと思っていたけど、私がその子の方へ行こうとすると、他の子供たちが必死になって止めてきた。 「あいつはバイ菌だから近寄らないほうがいいよ」 「あいつ、いい子ぶってるけど、本当は性格悪いんだぜ」 そんなことを、子供たちは口々に遠くから指差して木陰の「彼」に言うのだった。 だけど私はどうしても気になって、子供たちをいつもより早めに帰した後に「彼」に話しかけてみた。 その「彼」は…… 近づいていった私を見たときに、すごく驚いていた。 大きくて綺麗な目を更に大きく見開き、柔らかそうな口を空けて固まっていた。 風になびく髪がサラサラしていて、太陽に当たる肌が綺麗に輝いている。 驚くくらい美しいその少年は、「醍醐隼」くんというらしい。 隼くんは他の5年生の子たちに比べて、身長も体つきも顔も言葉遣いも…全てにおいて大人びていた。 話していると、相手が小学生なことを忘れてしまうような不思議な子だった。 私はどうして彼がバイ菌扱いされ、他の子に避けられているのか、全くわからなかった。
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