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「相沢さん、頑張りましたね」  相沢千里は上がった息を整えて助産師に礼を述べようとしたが、喉が掠れて声が出せないでいた。  その姿を見て、助産師は自分の唇に人差し指を当て「出産後なんですから、無理しないで」とだけ言って生まれた子供の方へと戻っていった。  千里は天井を見上げながら、この後の事を考えて口元を緩ませた。  この瞬間が来たことが嬉しくて嬉しくてたまらない。  早く夫に子供を見せてあげたい。  そして……。  色々なことを想像していると、乱暴に分娩室のドアが開き、一人の看護士が駆け込んできた。 「相沢さん!旦那さんが……」  分娩室に居る全ての人の視線が、飛び込んできた看護師に向けられた。
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