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少し遅れて入った会場はもう熱狂の渦。初めて観たあの人ははっちゃける仲間を嬉しそうに見ている。
「ああ、私も見守られて歌いたい」
見守られている人が羨ましかった。底から響くベース音、身体が勝手に動くドラム、そして脳髄を駆け巡るギターソロ。それも全てが羨ましかった。
「この中で歌えたらどんなにか」
心がざわつく。
身体が落ち着かない。
喉に何か詰まっている。
ああ、乗り込みたい。ステージの上に。
私は思い描く。走り出してマイクを取って歌い出す自分を。気持ち良い音の波に身体を委ねる自分を。
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