session1.モノローグ

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session1.モノローグ

テレビを今の若者達が見なくなったとどこかのYahooニュース記事で読んだ時、何故か、私は自分が今生きている意味がない様な気がした。 なんでなんだろ? 自分では全く良くわからない。 金原ひとみのアタラクシアが文庫化され、書店で見かけたので購入して、今は居間のテレビの報道番組を玄米茶を氷を淹れて飲んでいた。 自爆テロがまた、あったらしい。私は、それが最早何も感じなくなっていた。 金原ひとみは、自分の書いている小説が嘘で、他人の描いている小説が本物で有ると、書いていた。 何故か、その箇所に私は惹かれ、付箋を引いて置いた。 暫くすると、テレビの報道キャスターが、声高になにかを喚いていた。 だから何だと言うんだろう 私には何も意味がなさない。全ての人間達が、棒切れの様に見えて、自慰の後の寒々としたヴァギナの私の最低な性器には、相変わらずツンとした匂いがした。 垣根涼介が、涅槃という分厚い本を出していたが、私は読む気は無かった。暫くして、米国の報道メディアニュースに切り替わった。私は益々どうでもよくなってしまった。 アタラクシアという装丁の女性が、ミステリアスに見えて私は、こんな人居ないよね、と何処か冷めていた。 現実に居る周りの人間は、死んだ様な目で一日中溜息を吐き続け、時折、ぼーっとして、信号を無視していた。私は、青ですよーと偏平な口調で伝えてあげ、また車が走り出す。 窓を見やると、若い脚を全開に出した少女連れが、何やら駄菓子屋で、だべっていたのが視界に映った。 私は、下を向いて、そのあと、彼が信号を見逃していたので、ア見てるんだな、と笑った。 こんな聖人君子みたいな堅物でも、そう言う欲がある。私はオンナだから、女の白い肌には興奮も興味も無かった 静かになった夜10時、私は相変わらず、倫理的問題ばかり、人に問うこの、報道番組が如何にくだらないか、ほとほと呆れ果てた。 しかし、チャンネルは変えずに私はその番組を流し続けた。こんな事をしていて、何になると言うのダロウー。 風呂のバスタブが、満杯になった。 私は、ショールを脱いで、湯船に脚を入れ、奥まで身体を沈めた。 シンとした家内には、同居者は居ない。 しばらくして、私はアッサリ風呂から上がり、身体をざっくり拭きあげ、タオルで髪を拭いた。 グラスに入っていた玄米茶は殻になっていたので、冷えたビールをグラスに注いだ。 付けたままのテレビは、違う話題になっていた。 明日は猛暑日になる、そう伝え、30度を超えると言う。 ウンザリした今日の野外での仕事を終え、私は漸く休みになった。 何で生きてるんだろ、そんなどうでも良い事を考える程、沈んでいた私は、買い溜めしていた、良い加減に読まないとまた、ゴミになる、買い溜めした本達を平積みにして、攻略しようと、ページを捲ったが、全然読む気がしなかった。 ふと、忘れていた、メールの返信を返していないまま、おざなりにした相手の事を不意に思い出し、慌てて、返事を返した。 それを返信した後、漸く自分の自由が訪れた事にホッとしていた。 何に焦っていたのか、私は本をパラパラとめくって、テレビ画面に眼をやると、そこには紫陽花の綺麗な青が鮮やかだった。 綺麗、そう思った。
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