脈打つ鼓動

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どくん、どくん、と脈打つ音は街に近づいていく電車の音に負ける事なく、大きく、速くなっていった。幼い頃からの夢、それが叶う日が来たのだ。アナウンスが次の駅を告げる。彼女は、汗ばんだ手で鞄を握りしめると詰めていた息を吐き、静かに立ち上がった。ドアの出入り口付近には、彼女以外に数人の若い男達が待っていた。アナウンスが流れる。電車は停まり、ドアが開いた。待っていた男達の後を追う様に彼女も電車を降りた。そこは、圧倒されるくらいの人、人、人…。流されない様に鞄を握る力を強くした。ド田舎で暮らしていた彼女にとって、緊張の連続だった。そして駅から出た瞬間、彼女の目に映った光景は、今まで以上に彼女の胸を震わせた。既に辺りは暗くなっている中でネオンの光が眩しく輝いて見え、高層ビルや大きなマンションにひたすら圧倒された。道を進めば進んで行く程、田舎には無い色々なものが発見でき、何もかもが彼女の鼓動を速くさせた。そして何よりも、これから始まる新たな世界での第一歩が彼女の鼓動をますます速くさせていったのだったーー。
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