英雄のエンドロール

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そんな彼が今はそれに興味を持つようになった。これは良い傾向なのだろうか______。思い悩むことも増えていた。そんな彼を支えていたのは、相棒の木嶋であった。 「まぁ、朝比奈らしくないとは思うけど、刑事としては良い傾向だろうよ。被害者だけじゃなく、犯人側の気持ちも理解できる。そうすれば、事件の真相がより早くわかる。刑事として最高じゃないか」 それは木嶋なりの励ましの言葉であった。朝比奈は彼に「ありがとう」と言って、あくびをひとつかいた。 報告書を書くのももう飽きた。だが、まだたくさん書かなければならない報告書がある。疲れた______。そんな時であった。また新しい事件の報せが入ったのである。殺人事件のようだ。 「ほら、行くぞ、朝比奈」 「わかってるよ」 席から立った朝比奈は体を伸ばし、大きく息を吐く。 英雄のエンドロールに相応しいこの国の変化を見届けながら、その未来に期待する______。朝比奈は今日もまたこの国の平和のために出掛けていった。 『18 完。』
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