雨音に紛れる

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『爽雨ー! 泊まってもいいって! ·····ってあれ?』 戻ってきた友達が、きょとんとした顔をして、辺りを見回していた。 僕の姿が見えてない。 『急にかくれんぼー? どこに行ったのー?』 「僕はここにいるよ! ねぇ!」 腕が緩んだことを好機に、僕は急いで友達の元へ向かおうとした。だが、まるで見えない壁があるかのように友達の元へは行けなかった。 それでも叩きつけていると、自身の部屋が、友達の姿が、少しずつ暗闇に飲み込まれていくのが分かり、悲鳴を上げた。 「雨が上がるみたいだね」 なんてこともないように言うの方に振り返った。 「それはどういうこと?」 「次の荒れた天気まで、爽雨と僕は、ずっとここにいるってこと。というよりも、爽雨はそれを望んでくれていたでしょう? 僕たち、"ひみつのともだち"だもんね」 「ぼ、僕はそんなこと·····」 声が震えていた。恐怖を覚えている。 ──ぼくは、もっとといっしょにいたい! ──だったら、そうつよくおもうのなら、りょうてをまどにあわせて。 あの時のことが脳裏に浮かび、そして、無邪気にそう望んでしまった己の発言に後悔をした。 背後ではくぐもった友達の声が、遠くに聞こえてきたことにより、僕は再度振り返る。 瞬間、目の前は真っ暗となり、雨音さえも聞こえなくなった。 「あ·····あぁ·····」 わななき、後退りをすると、後ろにいたが腕を回す。 「これで二人きりだね。僕はずっと友達だよ。ずっと、ずっとね·····」
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