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姉妹って…
… この世は
ひとりでは生きていけないんですね …
—
『 … ダメダメ!
そのスカートは " ピンク ”
でしょ! だから
あんたのじゃない の!
おネエチャン の だから
あんたのは " 茶色 ” の!
分かった? ぜんぶ そう!
くつ も ランドセル も
ピンク の は!
おネエチャン の
だから ね!」
「 … うん 」
でも … ワタシも
ピンク い のが いいな …
―
私には 2つ上の姉がいる …
… ちん♪
… お父さん 見て!
私 卒業したよ!
今度は 文学 勉強して …
理系とは論文の書き方も
違ってたんだよ …
私は
お仏壇の遺影に学位記を見せて
亡き父に報告をした …
ここは いまは
母が守っている実家 の …
元 父親の書斎の いまは " 仏間 ”
私の横には
背中のまあるくなった母親が
うっすら目に涙を浮かべている
私は その母親の方は見ない
なぜなら … この母親は
私ではなく 姉を選んだから …
… だから
こうなったんで しょうよ!…
私は
涙ぐむ母親に腹を立てていた …
私は もう すぐ 30代半ばで
勤めている会社は・・・・で
そこでの会議に出席した私が
なにか 意見を言おうものなら
―
「 キミさ …
どこの大学 出てたんだっけ … 」
―
と 関係のない事で
その意見が言えなくなるので …
なので … とりあえず? 負けず嫌い
の私は 3年次編入で その会社の
学閥の大学に入りなおした ん です
けれど
その費用は … もちろん …
私の細腕で 薄給を 貯めこんだ
ものから出した ん です よ …
ですから … 今日は その報告で
お仏壇の前に座った ん ですけど …
私が お仏壇の父の遺影に
向かっている ので …
「 ねぇ! 聴いて よ!
お父さんたらさぁ ワタシに!
○○大学往くなって
謂ってたんだよ!
ひどくない?
あんたは 良いよね!
もうお父さんいないし!」
突然 …
そんな私の背中に向かって
いつの間にかそこに居た姉が
強く云い放つ …
「 へぇ … 」
私は 軽く返事をして
母親は 黙って 俯いて …
そう … この姉は …
母親と一緒に暮らしている ん です
けれど …
それは …
この母親の方が
姉を心配しての事 でして …
私は 十数年前 …
社会人となり
この家を出るかどうか迷った時に
この母親は もう 独りになっていた
ものですから …
―
「 どうする? お姉ちゃんと
私 … お母さんは
どっちと暮らしたいの?」
「 あなたは 強いから
ひとりでも大丈夫でしょ … 」
―
私は
母を心配したつもり
だった ん ですけれど …
母親は いくつになっても
自分は 親のつもりらしく …
成人した 私に 頼る事なく
成人した 姉を コドモだと?
みている様だった ん? です …
「 そ … 」
ですから 私は 家を出て
独り暮らしをしていた ん です
けれど …
この姉は …
高校を卒業する年は 自分の希望大学に
受からずに
そこから 2年間 予備校へ通い
結局 その 大学には受からずに …
そのままこの家の中に居る人で …
でもなぜか いつの間にか
その大学に受かった事になっている?
それを 父親に「 往くな!」 と?
なぜか 反対された事になっている …
父は … 言い返せない? ですから
ぁ … じゃぁ あの …
父が出した 2年間の予備校費用は …
なんだった ん だろ と …
… ちん♪
… ふぅ-----!
ね! … お父さん 無駄だったじゃん!
… そのお金 … 欲しかった な …
… ちん♪
だって … お父さんいまの聞いた?
小学生でカテキョつけてやって
中学受験させたけど 失敗して
中高はそれぞれ公立に通ったから
『 おネエチャンが公立だから
あんたもね!』って?
私 中学お受験させても もらえなく
て … なのに?
こんどはお父さんのセイになってるよ!
… ちん♪
ぁ----- 私 …
恨み節? が 止まらないぃ …
… ちん♪
ぁ … はい …
で も … それ は
も どうでもいい ね けど …
… ちん♪
私は いまでもこんな? 姉が …
なにか と! 羨ましい ん です …
いま 私の横に居るこの母親も
… あなたは強いから … なんて
謂ってた ん ですけど
ですが なんか …
私は 姉の方が …
強い 様な 気が いたします …
… ちん♪
ですよ たぶん … きっと
ね … お父さん そうだよね …
… この姉 だった ら …
私の様に そんな周りの事は 気に せ
ずに この年で また 勉強をするなん
て事 シナイ と 思い ます し …
なんか … 羨ましい ん です …
この姉の こういうところ …
この姉の ケロッと したカンジ …
大きな意味で 平和 です よね …
… ちん♪
まぁまぁ … でも …
私も 楽しかった ですけど …
この年で また 勉強をするのは …
けっこう 価値観も変わったし
年代の違う人たちとも触れあえたし
学ぶ場が違うと そこの人たちも
タイプが違うのも そうだった
です し …
なので そうなんだ と?
認識できて 面白かった です し …
… ちん♪
… お父さん でしょ? これは それ
なりに 意味もあった様な 気がします
はい …
だから 良いんですけど!
… ちん♪
ですから いま こうして居ると
私には やはり …
" お姉ちゃんと ” と 云ったお母さんが
心配な わけ で す よ …
はい お父さん …
ま … 少し 離れて暮らしていたので
あらためて 思ってしまったのかもしれ
ないけど …
… ちん♪
私の勤め先の会社の人たちよりも
そんな社会にも出た事のない この姉を
理解しようとする方が
私には 大変で
難解の様な気がしたのです …
… ちん♪
… お父さん
同じ血の姉妹でも …
私よりも 2つ上のお姉ちゃん …
だから なの …
そう …
こらから も でしょ よ!
… ちん♪
この姉の方が 私よりも 強くて
元気に長生き しそうですけど …
きっと 姉はこのままだろうし
母親は もう 高齢だし …
… ちん♪
ぁ … ね … でしょ …
それそれ! そう なの …
… はぁ ------!…
それなのに!
やっぱり! ですよ …
—
『 ねぇ----!
お父さん!』
… ちん!
… ちん!
… ちん!
「!… あらあら?」
母親は 目が大きく なり …
姉は おりんを連打し
すっとぼけた聲をだす …
『 ?… やだぁ …
どうしたの?
おりん の音?
いつもと同じよ?
なに気にしてるの?
変なコ ね …』
「・・・・」
… ちん♪
「 へぇ … 」
" 変なコ ね … ” だ と?
… は ぁ … そ? まだ
… " お姉さんぶってる ” の か …
… お父さん どう よ これ …
しみじみ お父さんと話してたのに …
お姉ちゃんが邪魔するから
話は また … だ ね … じゃ!
…ぱたん
私は お仏壇の間の
扉を静かに閉めて …
… きょうはもう 話す事もない
から もう サッサ と 帰る!
「・・・・」
…スタスタスタ…
「・・・・」
…スタスタスタ…
「・・・・」
…スタスタスタ…
—
「・・・・」
… こら こら …
… やっと静かになったな …
こんなにひろい家なのにな…
なんで一緒に 住めないんだ …
「 … 女きょうだいの家なんて
こんなもん なんでしょうか ね …」
… 相変わらずやかましい …
だけだなぁ なぁ 母さん!
… ちん♪
「 はい … お父さん♪
だから 楽しいじゃ
ないですか …」
―
「 え? お母さんなに?」
「 いいえ …
おネエチャン もう
ご飯にしましょうよ 」
「 うん!
お腹へったもんね!」
…カタン!
…トコトコ トコトコ…
… パタ パタパタパタ …
「 お母さん
歩くの 遅くなったね …」
「 … そう かしら?」
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