第十三章 関本三号ビル 三

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「地竜!!!頑張ってこい。嫌だったら、俺の元に戻ってきていいからな!」  少しの間だが、地竜と暮らしたので、すっかり情が移ってしまった。この小さな竜は、まるでマムシで、とても可愛い。 「地竜!!」 「ツチノコ、行け!」  地竜は振り返りながら、廊下を這うと壁に消えていった。すると、壁や天井が輝き、幾筋もの脈が見えた。 「四階が腸だったから、男の行為が、より有効になった。ケツから腸を刺激したからな」 「下品!」  しかし塩家は、その下品な行為をしなければ、世界は滅ぶのだと言っていた。 「それは、塩家の世界だろう?」 「竜も腸に似ている」  口喧嘩では、塩家に敵いそうにもない。そして、愁を演じる塩家は、見えない文字を空間に描いていった。 「…………ここに存在する者に幸あれ」  呪いに頼らず、頑張っていって欲しいと、俺も思う。 竜棲みて地固まる 完
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