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「超美人……すげぇ男とは思えない」
アンタに言われなくても誰もが振り返る美少年ってことは僕がいちばん知ってるからね。てか寝てる美少年の寝顔見るなんて気持ち悪いなぁ。
そんなふうに思いながら独り言を言っている男を無視する。そのまま通り過ぎてくれたら良かったんだけどそうも行かずその場にしゃがみこんだようだ。まあ危なくなったら返り討ちにしてやればいいと思って様子を伺ってたら肩をツンツンとつつかれた。
「あの、そんなとこで寝てたら遅刻しますよ」
「初日から遅刻しちゃってもいいんですか?」
日向ぼっこしながら気持ちよく寝てたのに邪魔しないでよ……。何こいつ僕のこと知らないの?僕のことは起こしちゃいけないって暗黙のルールなのにさ。どんな面なのかだけ拝んでやろうじゃん。
え、めっちゃイケメンじゃん
生徒会の次くらい、いやもしかしたらそれぐらい?のイケメンじゃん……。こんな顔のイケメン見たことないし、もしかして編入生かな、めっちゃ食べたい。
誰かに手付けられる前に僕が食べちゃおっと。
「僕、眠り姫なの」
「?」
まあ、眠り姫ってのは嘘ではないし。年がら年中暇な時は寝てるからってほんとに付けられた僕のあだ名だもん。
「王子様にキスしてもらわないと起きれないの」
「王子いつ来るんすか?」
「あんたが、王子」
「へ?俺?」
「そう、あんた。だから早く目覚めのキスしてくれないと僕起きれない」
僕みたいな超絶可愛い子とキス出来んだよ?早くキスしちゃいなよ。
僕の誘惑に勝てるやつなんかいるわけないからすぐ来るだろうって思って大人しく待ってたら明らかに唇じゃない感覚がする。しかも一瞬だけ触れたそれはすぐに離れていった。
お遊びがしたい訳じゃないと文句を言おうと目を開けるとそいつは手をキツネのポーズにしていた。
「ちゅーっ」
「へへ、起きましたか?お姫様」
そう言ってにこやかに笑う彼に風が爽やかに吹き髪をなびかせて花も舞い散り日の光まで彼を照らしててまるで自然の全てが味方をしてるみたいだった。
急に胸がドキドキして彼の周りがキラキラして輝いて見える。これは日光の光じゃなくて多分僕だけが見えるやつ。人が恋に落ちる瞬間はこんな感じなんだって初めてわかった。
何も言わない僕に心配に思ったのか不安そうな顔で覗き込んでくるイケメン。
「……もしかして怒ってますか?」
「怒ってないけど」
「そっか良かった……俺王子になれました?」
「な、何言ってんの?恥ずかしいからね」
「やっぱそう思います?俺も今の結構恥ずかったっす、ははっ」
そう言ってはにかむ笑顔が滅茶苦茶に可愛くて胸がズキューンって感じの音がした気がする。
「顔赤いけど大丈夫っすか?」
心配そうな顔して首をこてんと傾ける。それすら滅茶苦茶に可愛いく見える。
「だ、大丈夫だから!そ、それより早く行かないと間に合わなくなるよ」
「ほんとだ、じゃあまた!」
「うん」
無邪気に手を振る姿を見届けてやっと姿が見えなくなったところで一息つく。自分でもわかるぐらい顔が熱い。
やばいやばいやばい、こんなに可愛くてかっこよくて笑顔も凄くて……なにこれ胸がめっちゃドキドキしてるやばい鳴り止まないんだけど!?ちょっと止まって?!止まってってば!!死ぬ多分僕これ死んじゃうよ!?目覚めさせるキスじゃなくて永遠に眠らせるキスじゃん
あんな中学生でもしないような小学生でもするかわかんないおこちゃまキスでときめくはずないのに何故か胸がバクバクして止まらない。
さっきのことを思い出して悶えて数分間経ってやっと落ち着いてきた。
「あの子の親衛隊ってまだないよね……?」
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分かりにくいと思いますが王子は須崎で眠り姫は後々出てくる人物です。設定めちゃくちゃですが須崎は人の視線に耐えきれなくなって少しひと目から離れた小道に進んでた設定です。
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