君を食べたい

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 僕みたいな最低な人間には、あまりにもふさわしい最期だと、僕以外の奴らは言うだろう。それも、手を叩いて言ってくれそうだ。  本当に自分勝手だけれど、できれば東の果てからやり直したかった。やり直すつもりだった。だからここまでやって来たのに、僕は、最後のに耐えられなかった。  そもそも初めから、全て試されていたのかもしれない。東の果てまでたどり着けるのか、自分の欲望に打ち勝てるのか。言葉を並べていると、言い訳にしか聞こえないけれど、この際言い訳のひとつくらいは許してほしい。 ──僕は今、どこを漂っているのだろう。浮遊感にも似た感覚は感じるけれど、浮いているという自覚はない。そもそも体がない時点でおかしな話だけれど、そう感じるのだからどうしようもない。  思考が緩やかに止まろうとしている。もう、なのだろう。  もしも、もう一度人間として生まれることが許されるなら、僕の知らない、誰ひとり傷付けることない人生の選択をしてみたい。  最後の最期に、僕の人生で一番まともなことを思った。  痛みも苦しみもなく、頭の中が空っぽになっていく。 ──僕の命は、そこで終わった。  もしかすると、人間として消えることができたのは、この女性のおかげかもしれない。 完
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