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里深は外出から自宅マンションに戻り自分の部屋に入ると、机の上に置いてある、琴葉と一緒に映った水族館での記念写真を見た。
琴葉がお土産を物色している間に購入した物だが、琴葉に渡すタイミングを逃した。
そもそも、自分と映った写真を琴葉が貰っても困るだけとも思い渡せなかった。
写真と一緒に、琴葉がくれたサブレもそのまま置いていた。何故だか、食べるのが勿体無い気がして開けられないでいた。
「遊馬と何とかしてあげたいな」
写真の琴葉を見ながら、里深はふとある事を思いついた。
スマホを出すとLINを開き、結衣をタップする。
【こんばんは
ちょっと相談があるんだけど】
結衣にLINを送ると、しばらくして結衣からLINが返ってきた。
【こんばんは
何かありました?】
【電話しても良い?】
結衣が直ぐに既読になった。
【大丈夫です】
結衣からの返事を見て、里深はLINから電話を掛ける。
『はい。もしもし』
『突然ごめんね』
『いえ、大丈夫ですよ。それより相談って?』
『先日ね、ことちゃんと水族館に行ったんだ』
琴葉と水族館に行った事で何かあったのかと結衣は気になる。
もしかして、琴葉を好きになったのかと。
『ことから、黒部さんと水族館に行った事は聞いてますよ』
そりゃそうか。と、里深は思う。
『たまたま水族館のチケットを持ってて、それで偶然、遊馬のバイト先で会ったことちゃんを誘ったんだけどね』
本当にただの偶然だったんだと結衣は思った。
『所属していたサークルの後輩に泣きつかれて、イベントの景品で残ったチケット買ったんだよ。でも、使い道もなかったし』
里深の口調から、琴葉を好きだと言う相談でもないのかと結衣は話を聞く。
『サークル入ってたんですね』
『初めは高校の時の先輩に無理矢理入れられて。もう俺は参加してないけど、舜紀は所属してる』
『どんなサークルですか?』
『えーと、まぁ、イベント系?インカレだから結衣ちゃん達の大学の学生も参加してるよ。結構有名なサークル』
そっち系かと、結衣もそのサークルが直ぐに分かった。
『あー、分かりました。茉美が参加しようとして、あまりにも規模がデカいんで辞めたやつだ』
そこは出会い目的でも有名で、だから舜紀は参加してるんだと結衣はクスリと笑う。
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