「ウチの猫、時々しゃべるけど、気にしないでね」

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 ただでさえ悩ましいことばかりなのに、これ以上面倒ごとを持ってきてくれるなと、 「もう、見つかったら怒られるのは私なんだからね」  やつあたり気味にリューイチを叱るが、リューイチは知らん顔で、また聖良のベッドの上に戻っていった。そして先ほどと同じように、じっと階下を睨み始める。聖良が思わず、 「猫はいいわよね。悩みがなくて」  漏らしたら、 「そうでもないぞ」  誰かがぼそっと呟いた。 「えっ」  聖良は辺りを見まわしたが、当り前ながら誰もいない。ただ点けっぱなしにしたテレビの中で、芸人が決めポーズをとっていた。  そこに、ピンポーンとまたインターフォンが鳴る。聖良はびくりと身をすくめたが、今度こそみみこからの宅配便が届いたと知らせた。アプローチのロックを解除して宅配便を待つ間、リューイチに、 「いい、あなたが見つかったら、本当に困るんだからね。おとなしくしててね」  言い聞かせたら、果たしてリューイチは、その宅配便が来ても、聖良のベッドの上でおとなしくしていた。ただ写真立てがまた、床に落とされていた。
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