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エピローグ〜形にならない大切なもの〜
「レイさん…彼女とは、そんな関係じゃ有りません。
でも、かけがえのない時間…思い出…形にならない大切なものを残していってくれました。
僕は、これからも里親が見つかるまで子犬たちのことを守り続けます」
と、山村先輩はポカーンとし、千夜くんからは突っ込まれました。
「レイと子犬のことと、どんな関係が有るんだよ」
「言っても信じられないでしょうから言いません」
僕は、それだけ言うと、学園内に入って行きます。
そんな僕の後を千夜くんが山村先輩の首ねっこを掴んで追いかけてきました。
「山村の言うチャームって今、鈴木がカバンに着けてるやつか?」
「そうです」
「てえか、そのチャームの犬、まるで…」
何か言い掛けた千夜くんの言葉を遮る様に山村先輩が苦しそうな声をあげます。
「ぐええっ!ずずぎぐん、だずげで」
「何やっているんですか?千夜くん、山村先輩を解放してあげてください」
「わーったよ。山村、ボケッとしてねーで、自分でとっとと歩け」
千夜くんが山村先輩を離すと先輩は苦しげに咳込んでいました。
2人といつまでこうしてられるか解りません。
かけがえのない存在は犬達と同じです。
その時、雨雲の合間から陽が差し、チャームがキラリと光りました。
完
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