○夫の告白

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 その日の夜、夫は本当に珍しく早く帰ってきた。   「陽花、ただいま」 「……おかえり」 「夕飯、出来てる?」    キッチンへとやってきた夫は、わたしにそう聞いてきた。  「……うん。もう出来る」 「そっか。じゃあ手を洗ってくる」  夫はそのままカバンを置くと、ニコリと微笑みバスルームへと向かった。 「……何なの」  と思いながらも、わたしは二人分の夕飯の用意をした。 「美味そうだな。 いただきます」  夫はそのままお箸を持つと、出来たての肉じゃがを口にした。 「うん、美味いよ。陽花の料理は、本当に美味いな」  そしてそう微笑みを見せた。 「……そう」  どうしてそんな風に笑うの……? 訳が分からない……。 「陽花。今度の休み、なんだけどさ」  そして夫は突然、そんなことを言い出した。 「……え?」  今度の休み……? 「一緒に旅行に行かないか?」 「旅行……?」  なんで、急に旅行なんて……。 「新婚旅行以来、忙しくて陽花のこと旅行に連れてってあげられなかったから。……出来ればまた、陽花と一緒に旅行がしたい」
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