はじまり

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はじまり

息を呑むと言うのは・・・心を掴まれると言うのはこう言うことを言うのだなとその時、はじめて知った。 しかし、俺のその激しい感情の高ぶりとは違い、そこに落とされた色は淡く、優しいものだった。 だが、何かが濃く、強烈だった。 それは色なんかではない何か・・・。 だからこそ、それは俺に濃い印象を与え、俺の感情をこれでもかと高ぶらさせ、俺の心臓をどくんどくんと強く突き動かした。 そのはじまりの合図のような拍動は滲んでいく水彩絵の具のようだった。 それはじんわりと・・・ゆっくりと・・・ゆっくりと・・・。 だけれど、確かに・・・確実に・・・激しく・・・強く・・・淡いのに・・・鮮明に・・・。
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