第2章 匿名戦士

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 この人たちは本当に一体なんなんだ――。  怒りで体中の血が煮えたぎり心臓が破裂しそうだ。  どうして会ったこともない赤の他人をここまで侮辱できるのだろう。  どうしてこんなに流暢に誹謗中傷できるのだろう。  心底、訳がわからない。  お前らも好きで真咲君の情報をチェックしてるんじゃないのか? 作る曲が好きで、綴る歌詞が好きで、唄う声が好きで、ビジュアルも好きで、発信する言葉や行動に惹かれて、人間性に魅了されて、それで神坂真咲というシンガーのファンになったんじゃないのか?  一度好きになった人をどうしてそこまで罵って嘲笑うことができるんだ?  お前らは一体何様なんだ?  ぐちゃぐちゃに飛び交う言葉に掻き回されて、ノエルの頭は爆発寸前だった。  落ち着け。冷静になれ。  言い聞かせながらも画面から目が離せない。何度も何度も書き込みを行き来したあと、やっとの思いでページを閉じた。  それなのに。  スマートフォンから目を離したその瞬間になぜか、ノエルは気が付いてしまった。  この人たちはどうして――私が小説(もの)を書いてるって知ってるの?
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