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驚くほどあっさりした返事があった。
「……そうだよね。ヒロも、もう子供じゃないんだもんね」
自分に言い聞かせるような、ぼそぼそとした口調だった。
でも、次の瞬間。
「わかった。あたしも、もう変に干渉しない。世話もほどほどにとどめる。でもその分、責任とかも自分で考えてね」
拍子抜け、でも、安堵した。
「うん。それでいい」
そこがタイミング的に良さそうな気がして、紙袋を突き出した。
「……紅茶買ってきた。いつも、うちで飲んでたやつ」
すると姉は何度か瞬きをした。
「……ああ、そう……」
「差し入れも持って帰るし、佑真も、またうちに呼んでいい?」
「……別にいいけど」
そう言うと、姉は穏やかな表情で紙袋を手に取った。
「……その代わり、二人とも売れてよ?」
……よかった。
これはもしかして、ちょっと歩み寄れたのかな。
「……当たり前だろ」
対等、に近づいたのかな。
物心ついた頃からずっと「姉と弟」だったけど。
どうやら、ここから先は「大人同士」の関係が始まるみたいだ。
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