プロローグ

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プロローグ

授業が終わって廊下に出ると、俄に騒がしさが増した。 意識せずとも速くなっていく鼓動を無視して、人の波に乗って進んでいく。 やがて人だかりができている、廊下のある場所まで辿り着くと、わたしはふぅ、と息を吸い込んだ。 「ごめんなさい、見てもいいかな」 「あっ、ごめ……あ! と、藤堂さんっ! どうぞどうぞ!」 「ありがとう。ごめんなさいわざわざ」 道をあけて貰い、前へ進み出ると、ざわめきは消えていた。 わたしは顔を上げ、壁に貼り出されている紙を見た。そこに書かれた名前を順に、じっくり追っていく。 そして――。 見つけた。 自分の名前を。 『二位 藤堂(とうどう) (もも) 四八二点』 ――前期中間テスト成績上位五十名。 仰々しい明朝体で書かれた見出しの、隣の隣に、わたしの名前はあった。 「二位……」 思わずぽつりと呟くと、周りはこちらが自分の名前を発見するのを待っていたのか、わっ! と声を上げた。 「藤堂さん、すっごい!」 「可愛くて運動もできるのに勉強もできるとか、完璧すぎじゃない!?」 「また学年二位だもんなー。天は二物を与えずって絶対嘘だよなぁ」 口々に向けられる尊敬と称賛の言葉に、頬を赤く染める。 そして少しはにかみながら笑い、わたしは言った。 「そんな、わたしなんて大したことないよ。すっごい勉強したから、たまたまよ。 でも、ありがとう。そう言って貰えると、頑張った甲斐があったって思えるから――」
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