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もう容赦はしない。
気を失うまで愛の行為で責め立ててやる。気を失ったところでスマホを手に入れ、誰と通話していたのか確認するのだ。
もはや嫉妬の権化と化した翔之介には、理性の力など及ばない。強引にユキを身体の下に敷き込むと、放蕩時代に培ったあらゆるテクニックを総動員して、R16指定も顔負けの愛戯に及んだ。
さすがのユキも、翔之介の野獣振りに仰天。
大人の男の嫉妬はハンパじゃない。息も絶え絶えになりながら、それでも必死で耐えると、翔之介に抱きついた。
男の妄執は奥が深い。翔之介がやっと身体を離した時にはすでに、ユキは気を失う寸前だった。
だが、大事な詰めがまだだ!
ソコを確認しなきゃ、こんな危ない橋を渡った甲斐が無い。ミツコの筋書きの一番重要な場面が始まろうとしているのだ。
ユキの身体を側に引き寄せると、枕の下から翔之介がスマホを取り出す。スマホを右手に持つと枕に片肘をつき、ユキを見下ろしながら。さながらオセローのように、左手をユキの首に当てた。
親指を頚動脈の上に配置。残りの四本の指が、細いユキの首を掴むように包む。
一気に首が締められる態勢を取りながら、右手の指先がスマホの画面の上をすべった。
先ずは通話履歴だ。
「ないな」、そういうことなら、次はメール履歴だ。
「あったぞ」、相手が女の名前だからと言って、簡単に信用するようなお丸い翔之介ではない。
メールを読んだ。
「こんなに、ユキがジョジョに嫉妬をするなんて・・」、翔之介の目の淵が赤くなる。ユキがミツコという友人に、今夜の出来事を相談していた。
嫉妬に悶えるユキの、過激な言葉がおどる。
慰めるミツコの返信。
それでも嫉妬の焔が揺れ続ける。
翔之介は胸が熱くなった。ユキが彼の過去に、コレほど激しい嫉妬を持つとは思ってもいなかった。幸福感がどっと押し寄せる。
それこそが、この策謀の狙い。
ミツコがあの日の午後、ユキに言って聞かせた言葉だ。
「だまされたオセローも馬鹿だけどさぁ、デズデモーナの対応が一番問題だよね」
「カノジョが根性を起こしてさぁ、でっち上げられた陰謀をチャラにするような策謀返しをやってれば、首を絞められたりしなかったんだよッ」と、怒りを滲ませてデズデモーナの弱腰を非難したのだ。
不貞の事実など無いのに、貞淑という愚にも付かない美徳にこだわって、無実を誰かが証明してくれるのを待つと言う受け身なデズデモーナの他力本願が、ミツコには許せないらしい。
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