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大嫌い。
お母さんをずっと独り占めして。
お父さんを寝る間も無い程仕事づけにして。
許せない。
授業参観にも来て貰えなかった。
修学旅行の送迎もして貰えなかった。
いつも一人。私は一人。
友達が両親に囲まれてる中、私はいつも一人で唇を噛んでいた。
悔しくて、羨ましくて、妬ましくて、腹が煮えくり返って。
いつも両親を独り占めする貴方が憎くて、悔しくて、寂しくて。
いつか仕返ししてやると思っていた。でなきゃ私の14年間ただの負け犬の遠吠えになってしまうじゃない。
だから。
生きてよ、まだもう少し。
殴り合いの喧嘩が出来なくてもいい。嫌味の応酬がしたいなんて贅沢は言わない。
せめて、生きてよ、まだもうちょっと。
貴方との思い出をもう少し作らせてよ。先に逝ってしまうなんて許せない。
ねえ、お願いよ、目を開けて。
もう少し一緒にいてよ。寝たきりでも構わない。指一本が動かせなくても許すから。
意識はあるんでしょ、お医者さんが言ってたわ。ALSってそういう病気だって言ってたよ。
私を見て。私に触れて。私を認識して。
私を置いていかないで。
もうお別れなんて信じない。
絶対、絶対、絶対。
私を置き去りにしないでよ、こんなに呼び掛けてるのに。
こんなに、大嫌いで。
こんなに、大好きなのに。
お兄ちゃん
逝かないで……。
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