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『僕』
新歓コンパに少しでも良心を信じた自分が馬鹿だった。
皆が繰り広げるのは、他愛もない話ばかり。きっと明日にでもあれば、何を話したか忘れていることだろう。
そういう場が一番苦手なのだ。掘りごたつなのにどうにも腰が落ち着かない。新入生は500円らしいので来てみれば、これである。
「イェーイ! アハハハハ! 楽しんでるぅ? 今日は先輩たちの奢りだから、たくさん飲んでね! イェーイ!」
特に奥の女性。スタジャンと金髪。大学生に抱いていたイメージそのものだ。同時に、自分と最も縁遠い大学生そのものである。
「やっほー、何してんのー? 写真? 私も入る! イェーイ! 次、私ので撮ろう。行くよー!」
見れば、先輩は色々な席を回っている。実は結構気配りのできる人なんだろうか。
「はいチーズ! って、動画でしたー! アハハハハ!!」
前言撤回する。やはりついていけそうにはない。ほどほどに見計らってお先に失礼しようか。
「あ」
残念ながらその手は使えなさそうだ。今まさにその女性と目が合った。ジョッキを持ってこっちにやってくる。
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