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序章
「お父さん、お見合い受けるよ」
‘由奈、いいのか?’
「うん」
‘とても急だっただろう’
「それは…そうだね」
‘母さんは急かしていたが、急ぐことはないぞ?’
「うん、でも大丈夫。お母さんの友達の息子さんだし、優しそうだったから大丈夫だよ…私…特に結婚する相手もいないから」
‘まだ今年25なんだ。焦らなくても…’
「お父さん、ありがとう。お見合いだから心配してくれてるんだよね?」
‘まぁ…そうだ’
「お見合いでも幸せな家庭生活を送っている人たちは大勢いると思うの」
‘それはそうだが…’
「決めたからには出来るだけ早く結婚する」
高校卒業後、2年間専門学校へ通い栄養士資格を取った私、雨宮由奈は5年目にして仕事を辞めた。栄養士資格を取る方法はいろいろある中、最短のコースで現場で働くことを選び生涯現役を目標としていたが、思わぬことで会社に迷惑を掛けてしまったので退職した。またいつか栄養士としては働けるだろう。
仕事を辞めたと両親に伝えると、母がすぐにお見合いの話を持ってきた。結婚か…お母さんの友達の息子さんでおかしな人でないなら、それもいいかもしれない。美味しいものを食べてもらって、心通わせてうまくやっていける。
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