introduction

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ちくしょう。 俺は、負けたのか? あんなやつに負けたと言うのか? いてぇ。 くそ、いてええぇ。 こんやはずじゃなかった。 負けるはずじゃなかったんだ。 俺は凡人じゃない。 そこら辺にいる低レベルなやつらとは格が違う。 『最強』の『天才』、それが俺だ。 だからあんなやつに負けるなんてありえねえんだ。 だがなぜだ? なぜ倒れているのは俺の方なんだ? 仰向けに倒れ、腹に穴まで空けられてる。 なのにやつは無傷で涼しい顔してやがった。 狂ってる。 間違ってる。 くそくそくそ。 認めねえ。 俺は絶対に認めねぇ。 今すぐ起き上がって、あいつを潰す。 俺が本気を出せばあんなやつ一瞬だ。 ちくしょう。 体が言うこと聞かねえ。 指一本動かねえ。 目蓋も重くなってきやがった。 まさか、死ぬのか? この俺が、ここで? それこそありえねえ。 俺が、こんな、こんなところで。 あー。 くそ、さむい。 こんなにさむかったか…? だめか? あたまが、なにもかんがえられなく。 しにたく、やつをぶちのめすまではしにたく…! けど。 … … … もうむりか。 ああ。 思い残すことばかりだ。 もっと暴れたかった。 もっと贅沢したかった。 もっと壊したかった。 もっと遊び尽くしたかった。 世界の全てが欲しかった。 なのに俺はここで終わる。 ここで死ぬんだ。 ああ。 もし生まれ変わったら、誰にも負けねぇ力が欲しい。 誰にも文句を言わせねぇ。 誰にも邪魔させねぇ。 誰にも止められねぇ。 そんな圧倒的な力が。 … … … くそ。 くそが。 死にたくねえ。 しなたくねぇよ… おれにはまだやりたいことが… こんなところで。 こんなところで。 ちくしょう。 くそが。 あ、あ、あ。 せ、せめ、て、 … … … もう、いち、ど、 … … … … … … あのきれいなねぇちゃんだきてぇな。
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