24. いつかあなたと手拍子を

28/29
57人が本棚に入れています
本棚に追加
/297ページ
長い抱擁が終わり、彼の顔をうっとりと見つめた。 鼓動は速いのに気持ちはフワフワしている。 現実を確かめたくて思いっきり彼を抱きしめた。 ずっと心の奥に閉じ込めていた彼への愛しさ。 それが体全体に満ち、失いたくない想いが湧き上がり腕に力が入ってしまう。 彼の胸に顔を(うず)めた。 悦びと安堵の感情が広がり、上体が小刻みに震えた。 彼が私の背中を優しく摩った。 しばらくして微かにフフと聞こえた。 「ここで決め台詞を……」
/297ページ

最初のコメントを投稿しよう!