ゆきうさぎが来た日

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唇に勝利の笑みを浮かべながら、 勢いよくその引き出しを開けて──、 あたしは、 ゆきうさぎがへ飛び込んでいく様を見た。 ………あ。 ゆきうさぎは氷の上に着地する。 ふくふくした白い身体でしきりにきょときょと辺りを見回し、自分が上質な冷気に包まれていることを悟ると、赤い瞳をふっくら細めて身を横たえた。 艶やかな緑の耳が、時折くつろぎとも偵察ともつかない動きでぴょこぴょこする。 冷蔵庫がまたブーンと音を立てた。 足下へ伝い落ちる冷気が急速に弱くなる。 しばしの後、あたしはそっと冷凍室を閉めた。 片手では守り抜いたアイスバーが薄く汗をかいている。 ピリ。 袋を破く。 今年の夏最後のスイカ味をかじりながら、 ふと思いついて再びスマホを取り上げた。 『誰か、うちの子いりませんか?』                         了
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