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すると、花村さんはカバンの中から私に何かの書類を差し出す。
「これ……あげるわ」
「これは?」
「相馬紗子に関する書類よ。そこに全部、彼女がしたことや、経歴が書かれているわ」
えっ。
私は目を丸めた。
「相馬さんって……」
「あの女は危険よ。このマンションに住む人間の人権は全部あの女が握ってる。気に入らないことがあったら突き落として、縋らせて自分の奴隷になる人間を作っているのよ」
「……っ」
言葉が出なかった。
相馬さんが圧倒的な権力を持っているのは分かってる。
でも、奴隷って……。
「奴隷にならなければマンションを追い出す。それは最悪の形でね」
ゾクっと背筋が震えた。
私が来る前からそれが行われていたのだろう。
「旦那に調べて貰ったんだけど、私に偽事務所を近づけたのも相馬冴子よ」
「えっ!」
「彼女、色んな怪しいところと繋がりがあるみたいでね。私の情報を渡して、罠にはめたの」
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