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赤信号に足止めを食らい、少し走ろうかと思ったその時、カバンからバイブレーションの振動が伝わってきた。
咄嗟に「和人からだ」と思った春奈は、横断歩道を渡りきると人波から外れてスマホを取り出した。
「ごめん、和人! もうすぐ着くから──」
「……和人?」
「えっ……」
聞こえてきたのは和人の声ではなかった。でも、聞きなじみのある声……。
「『別れた』って言ってたのに……。嘘だったんだ」
「……」
「嘘つきは死んでも治らないって言うもんね。ねえ、お姉ちゃん」」
「……真紀」
電話をかけてきたのは、妹の真紀だった。
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