ホタル

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   それから先生を呼び、律子の手当をしてもらっている間、狭山はずっと凪の隣にいた。  凪は辛かったが、律子の怪我が大事ではないと知ったのが、一番安心だった。  祭が終わり、皆で施設に引き上げる。  班の違う狭山と伊藤は、もうそばにはいなかった。凪は律子に肩を貸しながら、歩いていた。  キャンプも今日で終わりだと、はっきりと意識した。  池のもとに差しかかった時、後ろから誰か走ってきた。   「――」    その人はささやいて、走り抜けていった。  瞬間、あたりが一斉に明るくなった。  それは、無数の小さな光だった。  周囲の皆は、全く気に留めた様子もなく、歩いている。けれど、凪には感じていた。 「私も好き」    光が、あたりをひらひらと照らす中―― 凪は走っていった背に、そう返した。   
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