雨の呪いと星間将棋

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 花火が上がっている。ほんとうに何年ぶりの花火だろう。ボクの念願は何年もの歳月を経てようやく実った。まさか僕にかけられた“呪い”がこんなにも強いものだったとは。  その呪いの洗礼を受けたのは、僕が3歳になったちょうどそのときだと母から聞いている。  保育園で遠足のあるはずだった日のことだ。その日は延期。予備日も潰れて、結局運動会は中止になった。  小学校に入学し、遠足や運動会があるはずだった日も、予備日もすべておじゃんになってしまった。ボクはこの時代に生まれたことを恨んだ。この時代そのものが、ボクらの貴重な生の体験を奪っていってしまう。正確には全てなくなったわけじゃないんだ。予備日にVRやeスポーツで代替できてしまう時代なんだ。  友だちの(あゆむ)くんは、わざわざ蒸し暑かったり凍えるほど寒かったりする外に出かけなくとも、快適な温度の室内で悠々自適なレクリエーションを満喫できるよと言った。 「最新ゲームのSBF(スター・バトル・ファイト)は面白いよ! 学校のボードゲームなんかの教育用eスポーツなんかよりも何倍も! ホンモノの戦闘みたいなんだ!」 「ボクは将棋のほうがいいな。」 「将棋はアレさ。オレの名前がコマに入っているから、好きじゃない。」 「(おう)だって(ぎょく)だって、ひとつのコマだよ。()だって立派なコマさ。」 「そう、誰だって、コマなんだ。だから嫌なんだ。」 「よくわからないけれど、SBFっていうのも、そうじゃないの?」 「え? ああ、そうかも。オレ難しいことはわからないから。だから将棋が苦手なのかもな。わかりやすいのがいい。」
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