第2話 ユラシルのリベンジ Version‐Final

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その機会を生み出すために、レビックが突き抜ける。 (真の僕……僕の中にある本性、それを呼び覚ますことは僕だけでは出来ない) 突き技で遠距離から『終局』に攻撃を当てるが全く意に介していない。様子見なんかではなくそれなりの威力を放っているが効果が無く、やむ無く全速力で詰め寄り直接叩くことにするレビック。 (僕自身受け入れられない僕の本性……それを引き出すには───) 一撃で粉々にされてしまいかねない拳撃が繰り出され、レビックは全力で回避行動に移る。だがレビックの速度では逃げ切れず、掠めただけで全身が軋み鼻と口から血が溢れ出した。 これだけで十分死を確信した。直撃すれば一溜まりも無いと、確実に死んでしまうとレビックは心の底から思わされた。 その恐怖が、緊張が、焦燥が、レビックには必要だった。 「───ッッか、ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」 ───死を実感した時にのみ、レビックの本性は姿を現す。 本性に任せる。 本性に委ねる。 自身の胸に秘めた騎士の誇りをこの上なく冒涜する暴虐の意思が、解き放たれた。 「【ホワイト・ジャベリン】ッ!!!」 手首、肘、肩を内側に回しながら突き出した長剣から回転して放たれる純白の槍が『終局』の横腹に深々と突き刺さり、構わず振るわれた裏拳を全力の『ワールド』を身に纏い、受け止めるも殴り飛ばされていく。 血飛沫が全身から弾けた。にも関わらず、レビックの見開かれた目に宿る粗暴な光はさらに強まる。 マリーラの殺戮衝動にも似たそれは、しかし相手を殺すことに特化した物では無い。自分が上だと、自分の力を誇示するためなら相手がどうなろうと構わない、ただそれだけに暴れる歪な衝動。 騎士の志から逸脱した狂気によって脳内に大量分泌されたアドレナリンが作用し痛覚を麻痺させる。極度の興奮が自身の発露出来る限界値を押し上げる。
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