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ー例えば、僕が誰かに愛されたなら 死にたいと思わなかったかも知れない。
それは とても幸せな人生だと思うからー
誰かに愛される、誰かを愛することは、きっと僕の人生を豊かなものにしただろう。
そして 幸せな人生には安らかな死が訪れると信じている。
それが僕の夢。
要するに何が言いたいかっていうと…
フツーに平凡な人生で良かったんだけどー
「香坂ナギ!」
そう、香坂ナギは僕の名前。
そして その名を呼ぶ声の主の姿は僕にしか視えず、他の人間には視えない。
多分、視えたとしても高度なコスプレヤローぐらいにしか思わないだろうな?
「お主は また無視か!」
と、怒りを露わにした声色が背後から聴こえてくる。
正直な話し、自分以外に姿が視えないのだから 無視するしかないのだ。
頭がおかしいと周りには思われたくない。
仮にスマホで さも通話中を装うことも可能ではあるが、勇気ゼロな感じで無理。
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