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「あ、はい。その、仕事…で。」
「ユウヤ様。今はユウヤ様が落ち着いて慣れて行くことが最優先ですから、この1週間の間にもしユウヤ様が話したいと思った際にその話をしてくだされば結構でございます。
では、クリーン魔法を施しても大丈夫でしょうか?」
「お願い、します。」
「承知致しました。では私は退出致しますので着替えましたら先程お伝えしたようにこちらのカゴへお願い致します。下着の方はこちらの小さい方のカゴへお願い致します。ユウヤ様がご入浴されているうちに私がクリーン魔法を施した後、そちらの台へ移しますのでご安心ください。」
レイさんの説明を聞くうちに段々と熱が引いていくのがわかる。今説明しなくていい事にホッとしたんだ。なにより聖女とか言われるものが男狂いの男だなんてどう説明しろと言うんだ。
でも猶予は1週間。説明の仕方を考えなくてはならない。
「では失礼致します。ごゆっくりと疲れを癒してください。」
レイさんの足音を聞きながらネグリジェに手をかけ浴室近くに置いてもらったカゴへ畳んで入れる。家事が壊滅的に下手なのでぐちゃぐちゃだが、丸めて入れるよりはマシだと思う。多分。
言われた通りカゴの隣に腰くらいの高さの白の大理石風の台。浴室側の壁に沿うように置かれた台の上に浅めの小さなカゴ。
ネグリジェを入れたカゴは白の目の細かい編みカゴに対してこちらは台と同じように白い石で出来ているカゴのようだ。カゴの中央には魔法陣のようなものがキラキラ光っていてここにも異世界が。
ふと大きな横長の鏡に映る横姿が目の端に映り、そこで初めて今履いている下着が目に入る。これかあ~とまたため息がこぼれ落ち俺は項垂れた。
脱衣所の真正面の鏡に映るソング型のそれは、前部分の布が膨らんでいるので男性用だとわかるが後ろは総レース、前は包む部分のみ布でサイドは同じレースのもの。
さらにはやっぱり後ろにスリットがあり、触ればそのスリットは股の中央手前まで入っていて、俺みたいな人間専用だとわかる作り。この厄介な体もまた、俺が話すべき事の中で依存症に続き最優先事項の1つ。
元の世界でもだいぶ悩まされたけど、そこそこ吹っ切れたはずだったのにまた悩まされるだなんて。
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