死ぬ時って本当にあっさり

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びりびりとした緊張感が走る。 俺を挟んで2人は向かい合っていた。 レイさんは相変わらず男の腕を握りつぶす勢いで掴んでいる。 俺を睨んでいた時とは違う、鋭い目つき。 本当に敵意を持った眼光だった。 「……」 その気迫に、俺も思わず唾を飲み込む。 最初は痛みと驚きで気圧されていた男も睨み始め、 「あぁ?てめぇ誰だよ」 そうドスの効いた声で返した。 「私は社長の秘書です」 「秘書ぉ?」 そう聞いて「はぁ?」という顔を男はする。 「貴方はいい加減、社長からその汚い体をどかしていただいてもよろしいでしょうか?」 チンピラみたいにガン飛ばす男に態度も変えず、冷静にそう言うとレイさんは男を向こうの壁へと突き飛ばす。 壁に当たった男が、頭を強く打ってその場で崩れ落ちた。 (ふーん…レイさんって結構力あったんだ) なんてこんな状況でものんきな感想が頭に浮かぶ。
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