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黒蘭を愛したマフィア
物心ついた頃から手に入らないものなどなかった。
また、それほど執着して手に入れたいと思うものもなかった。
だが今、心の底から欲しいという感情を自覚して戸惑いを隠せない。
自分の中にこんなにも激しい欲があったのかと驚くほどに欲しくて欲しくて堪らない。しかもそれは”もの”ではない。
女だ。
そうだ、例えば恋をするならこんな女性としてみたい。
いや――、もっと言うならこんな女を抱いてみたい。
生まれてこのかた四半世紀を過ぎた今、それは初めて芽生えた激しい感情だった。
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