たぶん、一度死んでいる

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「雨宮部長、お疲れ様です」 久保田が拓海さんに会釈する。 「久保田くん、例の映画の企画書読んだよ。中々、良かったよ」 「本当ですか! ありがとうございます」 「すぐにプロデューサーと連絡取ってくれる?」 「はい」 久保田がコーヒーを持って席を立ち、カフェバーを出て行く。 拓海さんは久保田がいた所に当然のように座った。 今日もネイビーのスーツが決まっていてカッコイイ。 仕事中の拓海さんも素敵だな。 「中島さん、まだその企画書、僕に見せてくれないの?」 久保田が置いていった企画書を拓海さんが見る。 「はい。まだ雨宮部長には見せられません。完璧なものになったら提出しますからお待ちください」 「楽しみにしておくよ」 拓海さんがすっと手を伸ばして、私の頭を撫でた。 「あ、拓海さん、仕事中ですよ」 「仕事中に部下の頭を撫でたらいけないの?」 「私以外の部下の頭は撫でないで下さい」 「どうして?」 「妬きます」 目が合うと拓海さんがクスッと笑った。 「僕が触れたいのは奈々ちゃんだけだよ」 耳元でそっと拓海さんが囁いた。 もうっ、拓海さん……。 胸がキュンとしちゃった。 「中島さん、顔が赤いけど、どうしたの?」 「あ、雨宮部長のせいですから」 隣でクスクスと笑う拓海さんが今日も大好き。 終わり 「たぶん、一度死んでいる」連載中です。 よかったら覗いてみて下さい😄 https://estar.jp/novels/26131951
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