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(こいつって……)
その美しくも鳥肌が立つような迫力に、響生は身体を硬直させたまま思った。
(マジで、妖怪なんだな……)
その表情からは、自分を襲った胡桃と同様、人間を感じられない。
胡桃と、どうして仲良く酒なんて飲めたのだろう。
九条と、なんで対等である気がしていたのだろう。
生き物として根本的に違う、
こんなバケモノと――。
「ダメです!隆之介様!」
椿が九条の肩を掴み、後ろから抱きしめる。
「離せ!お前は俺の式神だろうが!」
九条が金色の目で睨む。
「ーー全く嘆かわしい」
千蔭は慌てる様子は微塵も見せずに、大袈裟にため息をついて見せた。
「何という体たらく。往々にして弛んでいるんじゃないのか、隆之介よ。祓師としての利用価値が無くなったら私がお前を祓ってやるといつも言ってるだろうが!」
「お祖母ちゃん!」
琴葉が叫び、
「……この……!」
九条睨み上げる。
「ーー落ち着いてください、隆之介様。おそらく千蔭様がおっしゃっていることは本当です」
椿が諭すように隆之介に言う。
「阿比留は呪術にかかっている可能性が」
「……呪術だと?」
九条はそこで初めて響生を振り返った。
「…………」
3匹の妖怪と2人の神職に睨まれた響生は、身体を固まらせたまま首を傾げた。
「……じゅじゅつって、何?」
九条はその問いには答えずに、
「ーー説明しろ」
金色の目でこちらを睨んだまま、低い声で言った。
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