ピンチヒッター三条愛美

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 新・土井エージェントでも優秀だと評判の二十七歳。常にいくつもの案件をかかえている、いわゆる敏腕探偵である。優秀であるがゆえに隙がない、という雰囲気からか、社内で浮いた話は聞かない。が、本人は気にしていなかった。 「熱中症だったのかもしれんな……」 「はい。それほど長い入院にはならず、すぐに復帰するでしょうけれど、それがいつになるかはまだわからないですね」 「それできみがバトンタッチする、ということなのか……」  はい、と三条はうなずく。 「先野さんの調査の進捗状況はどうですか?」 「この案件は思ったより手強いな」 「と、いいますと?」 「関係者がことごとく死亡しているんだ。KVD不動産の社員がほぼ全員いなくなって、これ以上の聞き込みもできなくなった。まぁ、不幸というのは重なるものだな」
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