胸の手

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 きょうは月一の「T大茶道部・特別部会」で、その午後のこと。 「あっ、あの方よ。今度この町内に越してきたの」  部長をしているサヤカは言った。  副部長のレイは、その人物を見ながら、 「へー‥‥。なかなかのイケメンじゃない」  その新部員の彼は、まさに黒一点の人物だった。  会場はサヤカの実家でもある、和風カフェだ。  なんでも流の茶会は、秋の一時、なごやかに行われていた。  その理由はというと、それぞれのテーブルに、前もって注文したスイーツが用意されているからだった。  他の参加者では半分ほどが和服だったが、彼はさすがに洋服だった。  もっとも大学の部活だから、いちおう服装は自由だったから、彼に文句を言う者も皆無だった。  それ以上に、イケメンの新入部員とあって、人気者になっていた。
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